豆腐が好きだ。
特に、冷奴が好きだ。
大学の食堂で友人に「おじいちゃんみたい」と言われながらも毎日冷奴を食べ続けた。
ひじきも食べていた。
んー、確かに。
今、昼ご飯に毎日冷奴とひじきを食べる若者が隣にいたら、
「おじいちゃんか」と強めに言ってしまうだろう。
先日、遅めの昼ご飯にがっつりと肉を食べたため夜は軽いもので済ませたくなった。
今だ。
今日だ。
と思った。
こうして、冷奴を食べまくるタイミングがやってきた。
アレンジ冷奴祭り 開幕
そうと決まれば早速準備だ。
豆腐は当たり前のように冷蔵庫にたくさんあったので、上にのせるものを買ってきて刻んで小皿に盛って並べて写真に撮ってみた。
こうゆうのは勢いだ。
左上から時計回りに
しらす、
明太子、
オクラ、
柴漬け、
大葉、
ネギ、
そして真ん中がキムチ。
しらすは刻まずにそのまま。
明太子の皮はとった。
あと助っ人枠でこちら。
仰々しくワンショットの写真を載せるまでもないとは思った。
思ったがしかしせっかく撮ったので載せておこう。
ごま油です。
あ、醤油と塩、トマト、のりも準備。
(写真は無い。)
時は来た。
いざ。
まずは五種類つくってみた。
左からいただく。
漫才日本一を決めるM-1グランプリなど、トップバッターが不利になる大会は多い。
客があったまっていないからだ。
しかしこのアレンジ冷奴祭りでは全く逆のことが起こり、完全にトップが有利だった。
客があったまっているからだ。
祭りをやると決めてからこの一番手を口に入れるまでの小一時間、こちらは豆腐を食べることしか考えていない。
むしろ冷たい豆腐を食べるためだけの時間を過ごしてきた。
脳も口も胃も、豆腐だけを求めている。
この状態で食べる一品目はどう考えても有利だ。
たとえ平凡な味であったとしても90点をたたき出してしまう。
①しらす、大葉、醤油
よくできていた。
トップということを差し引いてもおいしかった。
しらすと醤油の塩分が豆腐によく合う。
大葉の主張もにくい。
悪くはないがあっさりしすぎ。
ちょっと物足りない。
トマトなら大葉よりもごまドレッシングが欲しい。
惜しい。
悪くはない、といったところ。
キムチの辛さと酸味が、思ったほど豆腐と仲良くならない。
一緒に遊んではいるが互いによそ事を考えている、みたいな感じ。
来週はもう遊ばない、みたいな。
オクラとキムチの組み合わせ自体は好きだった。
ただ豆腐よりもっと仲良くなれる誰かがいそう。
うむ。
柴漬けのポリポリ感がアクセントになって、良い。
豆腐に合うんだな。
たださっきとは逆で、しらすと柴漬けが仲良くない。
もはや遊んでいない。
一回も目が合わなかった。
んー。
豆腐には辛味よりも塩味だと気づいた。
これをやるなら刻んだ韓国のりを大量にのせてその上にちょろっと一つまみの明太子、の方が格段に良くなる。
間違いない。
ここまで五種類の冷奴が通り過ぎて行った。
まだ爆発は起こっていない。
もっと何かあるはずだ。
考えるんだ。
まだ何かある。
ミスター味っ子みたいになってきた。
二週間後に誰かと冷奴レシピ対決をする予定は、もちろん無い。
無いが見つけたい。
己を納得させる冷奴を。
「どこを探してもこれ以上ない」と胸を張って言えるものを豆腐の上にのせてやる!!
はい。
ここからは1つずつつくって食べていく。
おいしい。
やっぱり塩分が良い。冷奴には塩分だ。
しらすと醤油だけで充分においしい。
あえてオクラを足すことはないと感じる。
!!!
これか?!
お、おいしいぞ。
純粋な塩の味とごま油の香ばしさがガッチリと手を組んでいる。
そこに豆腐の柔らかな舌触りも加わって、もうバッチリだ。
お互いがそれぞれの強みを熟知した上で手をつないで輪になっている。
その状態でゆっくり回りながら、
「ずっと前からこうでしたよ」
と言っている。
三者が手を組む前のことをもはや思い出せない。
これはおいしい。
一旦落ち着きたくなった。
豆腐と塩味を一度切り離してみる。
これは確認作業だ。
そして確信した。
はっきりと分かった。
やっぱり豆腐には塩分だ。
ネギよキムチよ悪かった。
大した用もないのに呼びつけてすまなかった。
(帰りのタクシー代を手渡す。)
具材を使い切ることを考え始めた。
満腹感も顔をのぞかせている。
こうなるともう消化試合だ。
何を思ったか豆腐を二つ使い始めた。
(もうこのあたりの記憶ははっきりと残っていない。)
明太子とオクラも悪くはないが、少し前に食べたあの子のことで頭の中がいっぱい。
なかなかいける。
塩味とごま油の香ばしさ。
・・・いかんあの子のことを思い出し過ぎている。
目の前の相手に集中できない。
我慢できずにおかわりタイム。
会いたかった。
もぐもぐ。
優勝決定。
ピーーーーー!!
(試合終了のホイッスル)
やはりしらすの塩分では弱かった。
ごま油のポテンシャルを最大限に活かすことができるのは塩そのものだけだ。
いつの間にかごま油が主役になっている感があるが、そうではない。
すべては「豆腐の上にのせたとき」の話だ。
いや見事だ。
実に見事。
豆腐自体の存在感を引き立てつつ自らのアピールも忘れない。
塩、そしてごまの香りがよく冷えた豆腐にこれほどまでにマッチするとは。
大きな発見だった。
⑦ごま油、塩
優勝おめでとう。
欠点が一つも見つからないが、無理やりにでもケチをつけるとしたらその地味な見た目くらいか。
アレンジ冷奴祭り 閉幕
こうして、宴は幕を閉じた。
実に有意義な時間を過ごさせてもらった。
今回はっきりと分かったことがある。
やはり私は豆腐が好きだ。
いろいろ試してみたが、一つとしてまずいと感じたものはなかった。
言い換えよう。
すべてがおいしかった。
全品85点を超えていた。
最後に。
ありがとう。冷奴。
これからもよろしくお願いします。
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